移植
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当科の生体肝移植ドナーへの安全性と低侵襲性への取り組み
藤尾 淳宮城 重人戸子台 和哲柏舘 俊明宮澤 恒持佐々木 健吾松村 宗幸斎藤 純健金井 哲史海野 倫明亀井 尚
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s288

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抄録

【背景】当科における生体肝移植ドナーの適応基準を紹介し、安全性、適応、グラフトの選択の妥当性を明らかにする。【ドナー適応】年齢は20-65歳、グラフト容量はレシピエント標準肝容積比40%以上あれば拡大左葉切除を選択し、そうでない場合はドナー残肝が40歳以下で全肝の30%以上、40歳以上で全肝の35%以上を満たすことを条件としている。また2018年よりドナーへの負担軽減のために右葉グラフトの際に腹腔鏡を用いたHybrid手術を導入した。【方法】1991年7月より2021年5月まで当院で行われた205例の生体肝移植ドナー手術を対象とした。【結果】右葉100例、左葉51例、外側区域53例、後区域1例であった。手術時間、出血量、術後在院日数の中央値はそれぞれ461分、597ml、14日であった。Clavien-Dindo IIIaが14例 (6.8%)、IIIbが2例 (1.0%)、IV以上の合併症は認めなかった。グラフト種類による在院日数の違いは認めなかったが、外側区域グラフトの出血量が有意に少なかった。術後ビリルビンの最高値とPTの最低値は右葉グラフトが有意に悪かった。右葉のHybrid手術は28例認めた。Hybrid手術は従来型の右葉グラフト採取術と比較して、出血量が少なく、手術時間と在院日数の有意な軽減を認めていた。【結語】当施設では、現行のドナー選択基準で安全に生体肝移植が施行できていると考える。今後もチーム全体でドナーの安全性を確保するべきと思われた。

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