移植
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移植実施施設における移植内科医の現状と課題
蔵満 薫小木曽 智美服部 英敏佐藤 琢真平間 崇吉川 美喜子海上 耕平高原 史郎酒井 謙布田 伸一
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s296

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抄録

背景;日本国内の多くの移植施設では外科医が移植患者をフォローしているが、移植後長期経過した患者では高血圧や脂質異常症、耐糖能や腎機能障害等の管理が必須となる。国内における移植医療に携わる内科医の現状と課題を抽出すべく、日本移植学会内に2020年transplant physician委員会が設置された。

方法;2020年6月、委員会から移植実施施設に所属する全臓器の内科医と外科医を対象にアンケート調査が実施された。

結果;内科医の移植医療への参画は臓器によって大きく異なり、心臓>腎臓>肝臓>肺の順であったが、全臓器で共通した課題は自施設内での人材育成・他診療科や他職種との連携体制・他施設との情報共有であった。肝臓移植において、移植患者は全施設の63%で外科に紹介されており、移植前面談/評価・ドナー術前評価・移植後病棟/外来管理/肝生検は主に外科で実施されていたが、外科医が認識している以上に内科医も移植前後の管理に関与していることが明らかとなった

考察;今回のアンケートの結果移植施設に所属する内科医は少なからず移植医療に興味を持っていることが明らかとなった。今後内科医との連携をさらに進めるためには、肝臓学会や内科学会のような内科系学会経由での広報活動と教育システム構築による継続的な人材育成、レシピエント移植コーディネーターを含めた他職種との連携体制の強化、OJTも含めた移植施設によるネットワークシステムの構築が必須である。

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