移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
現在のallocation systemを変える必要があるか?
福嶌 教偉瀬口 理塚本 泰正渡邉 琢也望月 宏樹下島 正也羽田 佑田所 直樹福嶌 五月藤田 知之
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s308

詳細
抄録

わが国のドナー不足は深刻であり、心臓移植総件数の8割の患者が待機中に死亡している。待機患者の移植率を改善させるためには、allocation systemの変更も1つであるが、医学的理由で辞退されたマージナルドナーの利用も重要な課題である。 当院では2015年4月から積極的にマージナルドナーを移植することとした。当院で心臓移植を施行した15歳以上の全例を対象とし、2015年3月末前後で1群69例、2群72例とし解析。移植時年齢は2群が1群より有意に高齢(45.6±13.1 vs 36.5±12.1歳)。候補順位によりG1(1位)、G2(2-5位)、G3(6位以降)とし、1群でG1 50例,G2 12例, G3 7例、2群G1 14例,G2 31例, G3 27例で、2群には4例が100位以降であった。1及び5年生存率は、1群で98.6、95.7%、2群で97.1、97.1%であった。以上、順位下位でも的確にレシピエント選択をすれば、マージナルドナーでも良好な成績が示された。これを達成するには、自施設のレシピエント候補リストを常に周知し、マージナルドナーに対しどの下位候補者を受けるかを把握しておくこと、下位でも適切に交差試験用の血清を提出することが重要である。そうすることで、候補者決定までの時間が短縮され、心臓移植に到達できると考えられる。なお、2群でマージナルレシピエント2例を移植後早期に失っており、マージナルドナー心を選択する場合にレシピエントの重症度を考慮することが重要であり、その点についても議論したい。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top