移植
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エベロリムス併用導入免疫抑制療法による移植腎予後改善
三浦 正義東山 寛吉原 真由美
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s309

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抄録

目的:移植腎長期成績改善のためには慢性抗体関連型拒絶反応(CAAMR)を含めた慢性変化の克服が必要である。当科におけるエベロリムス(EVR)を用いた導入免疫抑制療法の成績を検討した。 方法:2010年以降当科で移植前抗ドナー抗体(DSA)を有さず腎移植し3年以上の観察期間を有する成人例を対象とし、導入免疫抑制でEVRを使用したEVR群(n=47)と使用しなかったSTD群(n=55)で移植後6か月, 1,2,3,5年でEVRとタクロリムストラフレベル(TACC0)、ミコフェノール酸(MPA)AUC、推算糸球体濾過率(eGFR)、尿蛋白1日量(uP)、プロトコル生検におけるaahスコア、6か月以内の急性拒絶反応(AR)、3年以内のde novo DSAとCAAMR、CMV感染症、その他感染症、移植後新規糖尿病(NODAT)、スタチン介入頻度について比較した。 結果:EVRC0は4-5ng/mLで経過し、TACC0は1年目まではEVR群で低かったが、2年以降はレジメン設定通りに減量されずにSTD群と同等だった。MPAは3年目までEVR群で低かった。eGFR、尿蛋白には差がみられなかった。ARの頻度はEVR群で低い傾向がありde novo DSA, CAAMRともにEVR群は皆無だった。aahスコアにも2群間差がなかった。CMV感染症はEVR群で少なかったが、他の感染症頻度は差がなかった。NODAT及びスタチン介入頻度はEVR群で高かった。EVR群16例で3年以内にEVR中止となったがその原因はEVR中止によりいずれも改善した。 結語:DSA、CAAMRの抑制による予後改善が期待される。

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