移植
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血液型適合生体腎移植におけるEVRプロトコルとMMFプロトコルの比較検討
泉 惠一朗村松 真樹米倉 尚志西川 健太櫻林 啓前田 真保青木 裕次郎小口 英世板橋 淑裕濱崎 祐子河村 毅宍戸 清一郎酒井 謙
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s313

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抄録

【目的】血液型適合腎移植において、タクロリムス(Tac)とステロイド(MP)に、それぞれEVRとミコフェノール酸モフェチル(MMF)を加えた3剤併用プロトコルについての比較を行う。

【方法】2018年6月~2020年3月までに当院で施行した血液型適合の生体腎移植のうち、既存抗体陰性の33例を対象とした。初期免疫抑制剤としてEVRを選択した17例、MMFを選択した16例の移植後1年間の治療成績を後方視的に調査した。

【結果】

年齢はEVR群42±14歳、MMF群42±11歳、性別(M/F)はEVR群11/6例、MMF群7/9例であった。EVR群では17例中7例がプロトコルから脱落した。その理由としては3か月定期生検によるborderline changes 2例、蛋白尿増悪2例、CNI毒性に伴う投薬変更1例、口内炎1例、リンパ瘤1例であった。一方、MMF群では経過中にプロトコルの脱落はなかった。移植3,12か月目の血清Cre(mg/dL)は両群に有意な差を認めなかった(EVR群 1.3±0.45,1.4±0.59、MMF群1.3±0.43,1.3±0.38)。経過中に臨床的拒絶反応はなく、移植3,12か月目の定期移植腎生検の病理所見では、EVR群に拒絶反応例はなく、MMF群では拒絶反応1例と原疾患の再発を1例認めた。ウイルス感染はEVR群でBKV1例、CMV2例、MMF群でCMV8例であった。

【結語】

EVRプロトコルの短期的な治療成績はMMFプロトコルと比べて遜色はないものの、一方で内服の継続性がEVRプロトコルの課題として挙げられた。

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