2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s317
A院では高齢の夫婦間移植が多く行われているが、2012年7月の移植開始後9年が経過し、免疫抑制剤療法の進歩や細やかな患者生活管理により長期生着が実現し、更なる高齢化が見られている。また移植が可能な施設が限られているため、近隣他県・遠方の方がA院で生体腎移植を受けられる症例も多くある。地理的な特徴から公共交通機関ではなく自家用車での通院が必要であり、レシピエント・ドナーの高齢化に伴うADL低下や認知機能低下、介護者の高齢化により通院が困難となるケースが増加する可能性がある。しかし、「免疫抑制剤の管理ができない」などの理由から地域施設での診療を受けられない現状があり、患者が可能な限り住み慣れた地域で長期的な定期治療が受けられるように医療や介護など地域連携体制の構築が不可欠であると考える。
今回、医師と協力し地域連携を行った症例について提示し報告するとともに、A院における患者の現状と課題を明確化し、今後の支援に活かしていく。