移植
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2型糖尿病を原疾患とする腎移植患者への自己管理指導法確立の重要性
原田 絵美友松 桐子犬飼 祐美伊藤 美樹鈴木 舞剣持 敬
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s318

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抄録

【はじめに】移植腎の長期生着を阻むノンアドヒアランス防止には自己管理指導が必須だが,未だ確立した方法はない.原疾患として糖尿病が腎移植後ノンアドヒアランスの危険因子とされる.今回,糖尿病を原疾患とする腎移植患者への自己管理指導法確立のため,患者の自己管理状況と指導方法を検討した.

【対象と方法】2018.1~2020.8に実施した腎移植患者74名(膵腎移植含む)を対象とし,原疾患により1型糖尿病群19名,2型糖尿病群16名,非糖尿病群39名に分類した.内服管理不足,水分出納・バイタルサイン未測定,感染予防対策未実施の項目のうち1つ以上ある場合,ノンアドヒアランスと定義し,3群で比較検討した.

【倫理的配慮】藤田医科大学病院,看護研究倫理審査会で承認を得た.

【結果】ノンアドヒアランスの患者は,1型糖尿病群の19例では1例(5%)のみがノンアドヒアランスであった.これに対し,2型糖尿病群では16例中5例(31%)と多くみられた.非糖尿病群では39例中2例(5%)にみられた.

【考察および結語】2型糖尿病を原疾患とする患者のコンプライアンスが低く,1型糖尿病ではコンプライアンスは高く維持されることが明らかとなった.2型糖尿病を原疾患とする患者への自己管理指導法は,Shared Decision Making(SDM)を取り入れた個別の指導法が必要である.今後,指導ツールの工夫,指導内容の改善等により,患者背景やライフスタイルを考慮した自己管理指導法の確立につなげたい.

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