移植
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腎移植患者のタクロリムス血中濃度にボノプラザンが与える薬物相互作用の検討
和田里 章悟荒木 元朗松本 准関戸 崇了吉永 香澄丸山 雄樹定平 卓也西村 慎吾和田 耕一郎小林 泰之渡邉 豊彦竹内 英実田邊 克幸那須 保友
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s323

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抄録

【目的】

腎移植患者における新規酸分泌抑制薬ボノプラザンのタクロリムス血中濃度に対する影響を検討した。

【対象と方法】

2018年8月から2019年9月に、ラベプラゾールからボノプラザンに変更した腎移植患者を対象とした。Cytochrome P450(CYP)3A5、CYP2C19の遺伝子多型に基づき、患者群毎の内服変更前後でのタクロリムストラフ値(ng/mL)を比較した。

【結果】

全患者(n = 52)におけるトラフ値の変化に有意差はなかった(前5.5 ± 1.1、後5.8 ± 1.2、p = 0.11)。CYP3A5 poor metabolizer群 (n = 25) では、トラフ値の変化は中央値0.4ng/mLであった (前5.5 ± 1.1 ng/mL、後5.9 ± 1.2、p = 0.049)。CYP3A5 intermediate metabolizer群 (n = 23) およびCYP3A5 extensive metabolizer群 (n = 4)では、前後のトラフ値に有意差はなかった。CYP3A5 poor metabolizer群におけるCYP2C19遺伝子多型によるサブグループ解析では、いずれのCYP2C19遺伝子多型においても変化に有意差は認めなかった。

【結語】

腎移植患者においてラベプラゾールからボノプラザンへの変更はタクロリムストラフ値に臨床的意義のある変化を来さない。

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