移植
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腎移植後のESA低反応性腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬の初期使用経験
安藤 忠助秦 聡孝三股 浩光
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s324

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抄録

【緒言と目的】

HIF-PH阻害薬は新たな作用機序の腎性貧血治療薬である。腎移植後のESA低反応性腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬の初期使用経験を報告する。

【対象と方法】

ESAを投与中でもHb11.0g/dL未満の腎移植後の腎性貧血患者を対象とした。

最終ESA投与から4週間以上のwash out期間を経た後にDIに従ってHIF-PH阻害薬へ切り替え投薬し、投薬前後の血液検査結果を比較検討した。

【結果】

患者は男女それぞれ3名ずつで、平均投薬期間は2.7ヶ月であった。投薬開始時の年齢(y)、移植後経過期間(m)、Hb(g/dL), Cr(mg/dL), フェリチン(ng/mL:12-60), エリスロポエチン(mIU/mL:4.2-23.7)はそれぞれ平均値で64.7, 117.7, 10.0, 1.93, 125.4, 31.7であった。

観察期間中、5名でHb値が上昇し、うち2名はHb>11.0となった。

特記すべき副作用を認める症例はなかった。

【結論】

HIF-PH阻害薬はESA低反応性の腎移植後の腎性貧血に対して効果が期待できると思われる。また外来通院間隔を長くすることが可能であり、with/afterコロナ時代に適していると思われる。

しかし、症例の積み重ねや長期経過観察が必要である。

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