移植
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小児における献腎移植の適応と課題
佐藤 裕之
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s35

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抄録

小児腎移植において献腎移植の数が決して多くない本邦ではこれまで多くの移植が生体腎移植で施行されてきた。しかし、小児への待機ポイントの加算の上、2010年の改正臓器移植法による15歳未満の脳死下臓器提供開始、2013年の先行的腎移植の申請受付開始、2018年20歳未満ドナーからの小児レシピエントへの優先という流れの中で、小児レシピエントにおいて献腎移植の待機期間は短くなり、小児腎移植における選択肢になっていることは紛れもない事実である。当院は小児専門施設であるがゆえに献腎移植の選択肢を示しやすくなり、さらにはその数も増えてきている。ただし、待機期間が短いといってもそれなりの期間の待機が必要である上に、その待機期間に起こりうる透析治療における合併症や手術難易度の悪化、献腎でなければ移植しないとういう方針での腎移植を行った先に起こりうる将来的な腎代替療法の選択の問題、さらにはまずは腎移植を行えばという観点での腎代替療法の選択に伴う潜在的な問題など現状の成人での待機期間を考慮すると各種の問題を先送りして移植を行っている可能性があるもの事実がある。今回、現在の小児献腎移植の現状とそれに伴う小児献腎移植の適応すべき状態とその限界、さらには今後の課題について述べたい。

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