移植
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肝移植における急性細胞性拒絶反応およびde novo DSA産生とエプレットミスマッチに関する検討
小野 紘輔井手 健太郎田中 友加小林 剛大平 真裕田原 裕之谷峰 直樹今岡 祐輝佐藤 幸毅山根 宏昭井出 隆太築山 尚史望月 哲矢大段 秀樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s43

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抄録

背景

近年、エプレットミスマッチ数と拒絶反応や移植後成績との関連についての報告が散見されるが、肝移植領域における検討は少ない。

目的・方法

2010年1月から2019年12月に当院で施行した生体肝移植症例のうち、ドナー、レシピエント共にHLA-A, B, C, DRB1, DQB1のallele解析が行われ、移植前後にHLA抗体検査およびリンパ球混合試験が行われた45症例を対象に、HLA Fusion Match Makerを用いてエピトープ解析を行い、急性細胞性拒絶(TCMR)およびde novo DSA産生との関連を検討した。CFSE-MLRの結果と併せてT細胞応答との関連も評価した。

結果

TCMRに関して、背景因子はレシピエント年齢(p=0.04)、免疫学的因子はHLA-DQB1エプレットミスマッチ数(p<0.01)に有意な関連を認めた。HLA-DQB1エプレットミスマッチ数はROC曲線よりカットオフ値を算出し、カプランマイヤー法で解析したところ層別化可能であった。エプレットミスマッチ数は反応性CD8陽性T細胞CD25表出率と有意な関連を認めた(p<0.01)。de novo DSA産生は、背景因子に有意差はなかったが、HLA-DQB1アレルミスマッチ数(p=0.04)、エプレットミスマッチ数(p=0.02)に有意な関連を認めた。TCMR同様にエプレットミスマッチ数で層別化可能であった。

考察

肝移植においてTCMRおよびde novo DSA産生とHLA-DQエプレットミスマッチ数との関連が示唆された。より汎用性のある予測因子となりうるかさらなる検討が必要と思われる。

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