移植
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ABO血液型不適合生体肝移植におけるFCM法を用いた抗A/B-IgG サブクラスおよび C1q 結合抗体測定について
石塚 敏笹野 まゆ古屋 海藤田 龍司小林 悠梨安尾 美年子三浦 ひとみ岩藤 和弘平田 義弘江川 裕人
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s44

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抄録

【目的】

ABO血液型不適合生体肝移植では、血液型抗体価に関係なく拒絶反応や臨床的免疫寛容が生じる症例がある。

我々は、この原因を解明するためFlow cytometry法を用いた抗A/B-IgG サブクラスおよび C1q 結合抗体測定を行い、それぞれの反応性の違いを解析したので報告する。

【対象および方法】

対象は、東京女子医科大学においてABO血液型不適合生体肝移植を施行した20症例である。

方法は、間接抗グロブリン法Indirect anti-globulin test(IAT)、Flow cytometry法によりTotal-IgG抗体と4種類のサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4) およびヒト補体C1qに反応するIgG抗体ついて測定した。

【結果】

移植前の血液型IgGサブクラスは、IgG2・IgG1・IgG3・IgG4の順で抗体量を保有している症例が多かった。特にO型は、A型・B型に比べ抗体量が多い傾向にあり、抗A/B共にC1q(IgM処理)陽性症例が多く認められた。 移植後に抗体関連拒絶反応を生じた症例では、血液型IgGサグクラスの変動と共にC1qも高値を示し、トランスアミナーゼと類似するような推移を示していた。

【結語】

本研究の結果から症例数は少ないものの、IAT法による抗体価が低くてもIgGサブクラスの産生量によっては移植後の拒絶反応に影響があると思われる。

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