2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s432
移植医療では患者の移植希望時から移植後外来まで、継続した医療の提供が必要となる。更に脳死・心停止下での緊急手術や免疫抑制状態にある患者の長期ケアと様々な状況にある患者を対象としており、移植医療のプロセスは複雑でチーム医療の実践が求められる。レシピエント移植コーディネーター(以下RTC)は移植医療チームの要となり、移植医療スタッフとの連絡絡・調整を行う専門職である。当院は腎移植施設であり、専従のRTCが患者の初診から移植後外来まで継続して関わっている。RTCは術前、周術期、術後に、医師、看護師、検査技師、薬剤師、栄養士など多職種のスタッフと連携を図り、円滑に患者が移植術を受け退院できるよう調整役を担う。更に、術後の拒絶反応や原疾患再発などで体外循環が必要となった場合、腎臓内科医や透析室へ情報提供、輸血部へ血液製剤の準備依頼も行う。献腎移植でRTCは、臓器移植ネットワークのコーディネーターや都道府県コーディネーターと情報交換を行うが、実際は移植医とドナーコーディネーター間の情報交換で完結する場合が多い。2016年より献腎移植登録、更新はレシピエント検索システム(以下E-VAS)での運用となり、RTCはE-VASでの入力作業の役割を担う。現在運営する中で、E-VAS運用でRTCが改善して欲しい点を明確にし、RTCとドナーコーディネーターが互いのコーディネーター業務を把握、理解することで円滑な献腎移植に繋げていきたい。