移植
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慢性膵炎に対する膵全摘+自家膵島移植術について
霜田 雅之伊藤 橋司丸山 浩司中條 大輔梶尾 裕柳瀬 幹雄日野原 千速徳原 真枝元 良広竹村 信行國土 典宏
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s536

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抄録

背景:激しい痛みを伴う慢性膵炎に対する膵全摘術および自家膵島移植(TPIAT)は,痛みの軽減を図りながら術後の膵性糖尿病を緩和し,良好な血糖コントロールを実現する治療法として,欧米を中心に行われている。しかし,日本ではこれまでに行われた実施数は限られている。今回,当院でTPIATを施行した5症例の経験を提示し、欧米の報告を踏まえて考察する。

方法:2016年8月から2019年6月までに、5名の患者が当院でTPIATを受けた。コラゲナーゼによる消化を用いて摘出膵臓から膵島を分離した。1例では膵島純化を行った。懸濁した膵島組織は手術中に門脈に注入し、肝臓内に移植された。

結果:移植された膵島量の中央値は270,967 IEQ(range、116,068-467,042 IEQ)であった。すべての患者で疼痛スコアは改善していた。すべての患者は12か月間移植片の機能を維持し、安定した血糖コントロールを得た。1名の患者はTPIAT後2か月目からインスリン注射不要で経過した。

考察:TPIATは、日本人患者においても、大幅な疼痛緩和と良好な血糖コントロールにより、患者のQOLを向上させる治療法となりうる。

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