移植
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肝臓移植におけるDSA症例、血液型不適合症例の検討
大平 真裕今岡 祐輝佐藤 幸毅今岡 洸輝小野 紘輔望月 哲矢井出 隆太谷峰 直樹黒田 慎太郎田原 裕之井手 健太郎小林 剛田中 友加大段 秀樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s545

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抄録

背景:肝臓移植におけるPreformed DSA症例は予後、拒絶反応に影響を与える。CDC陽性もしくはClass IのMFIが5000以上の場合は術前の脱感作療法を行っている。当教室におけるDSA陽性及び血液型不適合の予後、危険因子、免疫学的特徴について解析した。

方法:2010年~2020年の肝移植131例中、再肝移植を除き、術前及び術後にLab screenを測定している82例を対象。DSAの定義はLabscreen:MFI>1000。

結果:術前DSA陽性は18例、陰性は64例。陽性18例のうち術前減感作症例は12例。DSA遷延症例は5例(減感作2例)、消失症例は13例(減感作10例)。拒絶反応や長期生存に差はない。術前DSA陰性64例中、de novo DSAは12例、累積発生率は、1年 5.8%、5年 21.5%。免疫抑制剤トラフを含めた背景因子において有意な危険因子なし。慢性拒絶反応はde novo DSA群の1例のみに発生。長期の生存率に有意差なし。De novo DSA群で術前及び術後1ヶ月のMLRのドナー応答亢進(p<0.05)。血液型不適合症例8例は全例生存、内2例は術前DSA陽性。

考察:Preformed DSA患者に対しては減感作プロトコールを導入して良好な成績。De novo DSA症例も成績は良好であるが、症例の蓄積と長期経過を観察する必要がある。

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