移植
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腎移植を受ける患児へのサポート
関 真奈美
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s73

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抄録

 現在の小児腎不全における治療目標は、健常児と遜色無く心身ともに健やかに育てることとされている。小児の慢性腎不全患者に対する治療法には、成人患者と同様に透析療法と腎移植治療の2つの選択肢があるが、透析に伴う合併症や成長障害・発達遅延を回避し小児腎不全における治療目標を達成するためには最善のタイミングで腎移植を受けることができるよう、患児と家族をサポートしていくことが必要となる。腎移植治療の決断には、献腎、生体腎移植のどちらにするか、生体の場合にはドナーは誰か、いつ移植を行うかといった問題が浮上する。小児患者はその後の長い人生を視野に入れて考える必要があるために、これらについての家族の悩みは非常に深い。また、小児腎移植は、国内において限られた施設でしか実施されていないため、時には両親共に仕事を含めた日常生活の調整を行い、家族総出で移植施設近辺に居住し、患児をサポートすることも必要となる。

 レシピエント移植コーディネーターとして小児腎不全患者とその家族と面談を行う度に、家族によって抱える問題が多様であり、医療者が解決することの困難さを実感する。医学的な問題と社会的な問題に対して、移植チームとしてどのようにサポートしていくべきか、当院の小児腎移植の経験をもとに検討する。

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