移植
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RTC活動におけるメディエーションスキルの導入
渡邊 美佳剣持 敬纐纈 一枝
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s81

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抄録

当院では2019年度から臓器提供施設連携体制構築事業に取り組み、患者・家族に寄り添い、意思決定支援を行う役割のスタッフ育成として、メディエーターチームの導入を検討している。このチームの目的は、臓器提供だけでなく、重症患者の診療などコンフリクトが起こりやすい場面に早期に介入することで問題を未然に防ぐことである。また、認定メディエーターは医療訴訟などに発展した際に重要な役割を果たすと言われている。生体肝移植においても、胆道閉鎖術後の肝移植へ治療方針を切り替えるタイミングや移植に至らずドナーの自費診療費が発生する事例などコンフリクトが起きそうな様々な場面が予測できる。日常診療やICにおいて、レシピエント・ドナー及び家族に寄り添っているRTCがメディエーションスキルを習得し、十分な介入ができると治療・看護を安心して受けることができコンフリクトを予防できると考える。また、コンフリクトが起こりそう、あるいは起こってしまった場合に院内のメディエーターチームに速やかに相談できるしくみがあると、コンフリクトの内容に適した医療従事者が患者・家族と対話を促進することができ、重大事例への発展を防止できるのではないかと考える。今後、RTCがメディエーションスキルを習得することはとても有益であり、院内の教育計画を立案し技術習得を目指すとともに、日常から多職種とのコーディネーション力を磨き習得したスキルを発揮していきたい。

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