移植
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レシピエント移植コーディネーターによる腎移植術後を見据えた術前介入
福田 将一高橋 一広古屋 欽司臼井 丈一小関 美華小田 竜也山縣 邦弘
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s80

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抄録

 レシピエント移植コーディネーター(RTC)の理念に、「移植プロセスを円滑にするためにコーディネーションとコミュニケーションを促進する存在である。また、安全な移植医証の実践を支える存在である。」とある。

 これまでのRTCの取り組みについては、術後にフォーカスを置いた検討や考察がなされており、術後指導に関する知見はより深まっていると考えられる。一方で術前におけるRTCの取り組みについては術後介入に比べると報告は少ない。そこで当院の術前RTC介入について検討した。RTCの介入前と介入後の患者の退院時体重と術後約1年の体重を比較し体重増加率を評価した。RTC介入前の体重増加率は平均105.8%であったが、RTC介入後の体重増加率は平均99.8%であり体重の増加率を抑制できている結果となった。また、当院の術前体重管理基準BMI:28 kg/m2を目標に減量指導を行ったレシピエント・ドナーの体重減少率は平均-8.8%であった。

 移植医療は他職種で移植腎を長期生着させるために日々取り組んでいる。その中でRTCは患者のアドヒアランス低下を予防するために、治療意欲を引き出すことが求められる。術前から動機づけを高め、行動変容を促すコミュニケーションを図るRTCの役割は重要であり、術前からのRTC介入による関係性の構築は術後のモチベーション維持に有効であると考える。

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