移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
臓器提供数増加のための行政の取り組み
木庭 愛山口 昴久吉川 美喜子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s136_1

詳細
抄録

はじめて一定の条件の下で脳死を人の死と位置づけ、脳死体からの臓器提供に係る諸課題について整理・規定し、道筋を整えた臓器移植法の成立・施行から本年で25年となる。以降、令和4年3月末までに法に基づき821名の方が脳死と判定され、臓器提供に至った。令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、臓器提供数が減少したが、令和3年度は回復し、脳死下の臓器提供数が過去2番目に多い79事例であった。しかし、現状では、依然、諸外国に比べると、我が国の人口当たりの臓器提供件数は格段に少なく、また移植までの待機期間も非常に長い。

このような状況を踏まえ、昨年度、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において臓器移植医療制度の現状を振り返り、課題を整理するとともに、臓器移植を一層推進するための方策について検討を重ね、提言として取りまとめていただいた。提言をふまえ、厚生労働省として、「臓器移植に関する普及啓発の促進」「臓器提供の意思を公平、適切に汲み取ることができる仕組みの整備」「医療技術の活用による臓器提供・移植の推進」について日本救急医学会、日本移植学会等関係団体のご協力のもと、移植医療の推進と臓器提供数増加に向けた取り組みを進めている。これら取り組みとこれからの展望について概説する。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top