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臓器提供数増加のための方策 脳神経外科医の立場から
小野 元加藤 ようこ
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s137_1

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抄録

臓器提供数増加のための方策として、脳神経外科医の立場から脳死下臓器提供、心停止下臓器提供における医療現場負担を抽出し検討する。

法改正により、本人意思確認に家族の支援をえた脳死下臓器提供においては「臓器提供」=「脳死とされうる状態」+「家族希望」という方式を得たことで、救急集中治療現場では家族への説明がしやすくなったと予想できる。

しかし2年ほど前に発生したCOVID-19の影響もあり脳死下臓器提供はじめ、心停止提供を含めて全体数が低下した。その理由としては、提供可能となる対象症例が減った可能性もあるだろう。さらにここ数年のCOVID-19対応では救急集中治療の現場において脳神経外科医も当然影響をうけ、通常医療と医療医療者と家族の面談、そして本人と家族の面会に制限が生じた。

このことは患者の命を守る救急集中治療現場ではCOVID-19治療の限界とともに、治療選択についての説明や相談が本人・家族と十分できない状態において非常に困難さを感じた。いみじくもこのことは臓器提供への説明や相談と同じで臓器提供に対する現場負担の本質であろうと考える。患者本人・家族が希望する終末期、もしくは死の在り方への対応に未来の臓器提供方法を脳死下臓器提供方式のみとしたいならば、それは本来の法律にある患者の意思に沿わない。本来、臓器提供は終末期対応の1つとして人の善意、もしくは家族希望で行う医療である。つまり救急医療における終末期医療対応として患者・家族を含めた倫理的対応を念頭に新しい提供システムを念頭に再考慮すべきと思われる。臓器を将来に向けて検討する。

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