移植
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肺移植医療における内科医の役割と重要性
宇井 雅博平間 崇岡田 克典野田 雅史新井川 弘道大石 久渡辺 有為渡邉 龍秋
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s189_2

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抄録

日本における肺移植実施施設は10施設ある。日本の医療機関の多くが近隣に移植施設を持たず、移植医療に携わる機会は少なく、私が従事していた新潟県も同様であった。しかし新潟県をはじめ、北陸地方にも肺移植を必要とする患者は多くいる。そこで、移植内科医の研修プログラムに応募し、現在、東北大学呼吸器外科で移植内科医として肺移植診療に従事している。肺移植医療は、①かかりつけ医療機関からの肺移植実施施設への紹介、②移植登録、③肺移植手術、④周術期管理、⑤慢性期管理、から成立する。肺移植内科医としての診療業務は、上記における③以外すべての診療であった。考えていた以上に、外科的処置が必要な期間は限られており、むしろ内科的な対応を要する医療であることを実感した。待機患者の呼吸器感染症の治療(移植手術を見据えた対応)、日本臓器移植ネットワークとの連携、術後ICU管理、免疫抑制薬の調整、拒絶反応や感染症予防、さらには、移植患者の終末期緩和ケアなど、移植施設で勤務して初めて経験する診療も多くあった。免疫抑制剤の薬物相互作用はすべての過程で注意を払う必要があり、この分野における専門的内科医の存在は極めて重要であると実感した。

本ワークショップにおいて、肺移植医療における呼吸器内科の業務・役割を紹介するとともに、移植実施施設以外での呼吸器内科医としての役割に関して考察を行う。

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