移植
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~保存期から移植まで~一貫した腎臓内科医の関与の重要性
豊田 麻理子川端 知晶石塚 俊紀濱之上 哲日高 悠嗣山永 成美
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s191_1

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抄録

免疫抑制剤や免疫学的検査の進歩などにより腎移植の成績が着実に向上している一方で、高齢者や糖尿病などハイリスクの移植患者が増加し、生活習慣病、心血管合併症、悪性腫瘍、感染症などの合併症が問題となっている。術前評価や移植後の管理において、これらの非免疫学的合併症には内科医の知識と経験が必要とされている。

術前においては、近年透析未導入の移植(PEKT)が増加しており、移植までの全身管理についてはかかりつけの腎臓内科医との協力が欠かせない。当院では、腎臓内科医が窓口となって移植の相談を受けることによって、移植施設への紹介のハードルが下がりコミュニケーションがとりやすくなっている。また、腎不全患者の高齢化に伴いドナーも高齢化しており、マージナルドナーの適応には慎重な判断が求められる。ドナーの安全性を担保するためには、術前評価だけでなくフォローも腎臓内科医の重要な役割である。術後においては、血圧や血糖といったCKD管理が長期生着には大きな影響を与えることは言うまでもない。最近はCKD領域において腎保護作用が認められた新しい薬剤が登場しており、これらの薬剤を使いこなすことにより移植患者においても腎保護作用が期待される。

移植患者の増加に伴い腎臓内科医の関与は必然となっている。多くの腎臓内科医にとって移植医療はチャレンジングな分野かもしれないが、保存期から移植まで腎臓内科医が一貫して関わることは、トータルケアの充実や腎臓内科医としての診療の幅を広げるきっかけにつながる。腎臓内科医の立場から、今後の移植における内科医参画の展望と課題について考えてみたい。

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