移植
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手術、周術期管理に難渋した再々肝移植の1例
佐久間 康成眞田 幸弘大西 康晴平田 雄大岡田 憲樹堀内 俊男大豆生田 尚彦水田 耕一佐田 尚宏
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s197_1

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抄録

症例は17歳男性。原疾患は胆道閉鎖症で、過去に2回生体肝移植を受けているが、グラフト不全となり脳死ドナーからの全肝移植を行った。

肝静脈狭窄に対して挿入された静脈ステントは一部IVCかかっており、心嚢を開放して下大静脈を確保した。側副血行や高度癒着のため剥離操作に難渋し、門脈損傷以降出血量が増え、最終的に門脈断端は縫合閉鎖した。肝静脈再建後、阻血時間を考慮し左胃大網静脈に挿入したカテーテルをレシピエント門脈へ挿入し門脈血流を再開した。肝動脈再建は脳死ドナーの総腸骨動脈を用い、レシピエント右胃大網動脈と固有肝動脈へ間置した。出血量が多くなり胆管は外瘻とし、グラフト周囲をパッキングしてopen abdomenでICU入室とした。しかし手術終了後まもなくして門脈血流が微弱となり再手術となった。門脈に挿入していたカテーテルを中心に血栓を認め、血栓除去後に脳死ドナーの総腸骨静脈を間置して、左胃大網静脈とグラフト門脈の吻合を行った。術後2日目に、腹腔内出血で再々手術を行ったが、目立った出血源はなく腹腔内洗浄後閉腹した。その後、腹腔内感染による敗血症を契機に呼吸状態が悪化し、肝肺症候群もあったことからNOを併用しつつ、ベットサイドで開腹洗浄ドレナージを行った。その後、呼吸が安定した後mesh  traction法で徐々に閉腹を行い、術後第86病日にICU退室となった。胆管外瘻は術後2年目に内瘻化に成功した。

本症例における反省と工夫した点について報告する。

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