移植
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腎代替療法専門指導士への期待 看護師の立場から
内田 明子
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s202_2

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抄録

 本資格の認定を実施している「日本腎代替療法医療専門職推進協会」は、設立の目的を「患者との共同意思決定とアドバンス・ケア・プランニングを基本として、多職種によるチーム医療で適切な腎代替療法の選択を推進すること、透析患者および腎移植患者のADL、QOLの向上を目指すこと」としている。

 超高齢社会を迎え、多くの高齢者の医療やケアに携わることで、私たちは「人は単なる延命や長寿ではなく、人としての尊厳をもってより健康的な老年期(人生の最終段階)の安寧な暮らしを望んでいる」と気づかされた。そして私たちは、あらためてEBM(Evidence Based Medicine)根拠に基づく医療も、最善の根拠と医療者の経験、そして患者の価値観を統合した、患者にとっての最善の医療を目指すことと再認識した。それにより患者にとっての最善の医療を考える上で、患者の個人的特性への関心が高まっていると考える。

 看護は、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福でありたいという人間の普遍的なニーズに応え、生涯を通して最期まで、その人らしく生を全うできるようその人の持つ力に働きかけながら支援することを目的としている。そして看護では、患者個人の習慣、態度、文化的背景、思想などを患者の個人的特性と考えている(日本看護協会 看護者の倫理綱領より)。

 腎代替療法専門指導士には、患者本人にとっての最善の医療やケアの実現のため、患者の意思決定の権利や個人的特性を重視するという看護の視点を取り入れ、アドバンス・ケア・プランニングの推進や療法選択支援、ADLやQOLの向上のための活動を期待する。

 

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