移植
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腎代替療法専門指導士への期待〜腎移植コーディネーターの立場から〜
野口 文乃石井 大輔岩村 正嗣吉田 一成
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s202_1

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抄録

令和4年の診療報酬改定に向け標準的な腎代替療法(以下RRT)の選択・指導を現場に浸透させることを目的として、2022年2月に「腎代替療法専門指導士」(以下、RRT専門士)制度が立ち上がった。このRRT専門士は、職種横断的なCKDの腎代替療法の選択・療養指導に関する基本知識を有した者の資格で、対象は看護師・保健師、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、腎臓病療養指導士、移植コーディネーター(以下、RTC)および医師などが該当する。このRRT専門士は透析医療だけでなく移植医療や保存的腎臓療法にも係り、その目的は「腎代替療法の適切な選択を推進し、透析・腎移植患者のADLやQOL向上を目指すこと」である。RRT選択支援とは、適切なRRTの情報提供と共同意思決定(以下SDM)を重要としている。これはCKD患者が選択後も自身の治療や療養生活を満足のいく形で送れるためでもある。このRRT専門士の存在により移植医療の推進が期待される一方で、RTCが今後果たす役割について考えてみたい。療法選択外来などで移植医療の専門家として腎移植について情報提供を行う「事前療法説明」と、腎移植を選択したのち、移植施設の初診時から、SDMや意思決定の過程を振り返りながら行う「選択後療養説明」の2つの役割がRTCにはある。そしてさらにRTCは、腎移植の現場において多職種が共同して課題に対する多職種連携や、シームレスに行われるCKDトータルケアの患者支援のマネンジメントなどを担う。今回RTCを基本職種とした腎代替療法専門指導士として、RRT選択支援の現場で期待されること、そして今後どのようにRTCとして多職種と連携し活動していくのか再考していきたい。

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