2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s218_2
移植心冠動脈病変(Cardiac allograft vasculopathy: CAV)は心臓移植後遠隔期の予後規定因子の一つである。心臓移植後患者は除神経状態のため、進行したCAVにより心筋虚血を呈していても典型的な狭心症症状を自覚しないことも多く、定期的な検査が実施される。CAV診断のゴールドスタンダードは冠動脈造影であるが、CAVに典型的なびまん性同心性血管内膜肥厚が主体である場合は感度が低いため、血管内超音波(IVUS)による精査があわせて行われることも多い。国立循環器病院センターではCAVの定期検査として原則、心臓移植後5週目、1年目、以後1年毎に冠動脈造影およびIVUSを施行し、CAVの詳細な評価を行ってきている。CAVの進行や危険因子、長期予後など、当センターにおけるCAVの現状について、経時的なIVUSの解析結果やCAVに対する治療成績を中心に報告する。