移植
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当院で経験した腎移植後のCOVID-19感染の4例
中西 裕美倉田 博基光成 健輔松尾 朋博大庭 康司郎望月 保志川浪 幸子宮田 康好西野 友哉
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s263_1

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月中国武漢市で初めて報告され、パンデミックを引き起こした。免疫抑制療法が必須の腎移植レシピエントでは重症化リスクが高く、COVID-19発症時は留意が必要である。

当院では腎移植後にCOVID-19感染に罹患した症例を4例経験した。いずれも移植維持期の症例で、ワクチン2回接種後、濃厚接触のスクリーニングの結果、陽性となった。4例のうち2例は無症状・無治療で経過、1例は抗体カクテル療法ののちに軽快、1例は軽症であったがハイリスク症例としてソトロビマブ使用後、汎発性帯状疱疹を併発し、免疫抑制剤の減量、長期入院加療が必要となったが、最終的には軽快し、外来通院が可能となった。長期入院となった1例は、経過中に慢性移植腎機能障害の進行を認めた。

免疫抑制療法下にある移植患者の COVID-19 ワクチンに対する抗体反応は健常人と比較して低く、罹患した場合、死亡率は一般健康人よりやや高く、急性腎障害からグラフトロスに至る症例も報告されている。 今回我々が経験した4症例のCOVID-19の感染状況や治療状況、軽快までの腎機能を含めた臨床経過をまとめるとともに、当院外来フォ

ローアップ症例のワクチン接種状況および副反応調査結果を追加して報告する。

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