移植
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腎移植患者におけるCOVID-19ワクチン2回目接種に対するresponderとnon-responderの比較
松波 昌寿鈴木 智髙梨 弥生越智 敦彦矢嶋 淳久慈 弘士末永 孝生
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s269_1

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抄録

【背景】

免疫抑制剤を使用している腎移植患者は、ワクチンによる抗体陽性率および抗体価が低いと報告されている。本研究は、①腎移植患者において新型コロナウイルス (COVID-19) ワクチン2回目接種後の抗体価と、②抗体価が上昇しないリスク因子の可能性を評価した。

【方法】

当院の腎移植患者29名を対象とした。COVID-19ワクチン2回目接種後2~8週間以内に採血を実施し、抗体陽性率および抗体価を調べ、2回目接種後にanti-SARS-CoV-2 IgG levels ≥0.8 U/mLをresponder群、anti-SARS-CoV-2 IgG levels <0.8 U/mLをnon-responder群と定義して比較検討した。

【結果】

Responder群16人、non-responder群13人で、responder群の抗体価は78.6 [IQR, 3.8–226] U/mLであった。患者情報を表1に示す。Non-responder群は、高年齢 (65 [IQR, 55–71.5] 歳vs. 54 [IQR, 46.5–61] 歳; p=0.01)、短い移植後の期間 (1,034 [IQR, 548.5–1,833] 日 vs. 1,588 [IQR, 1,382–4,751] 日; p=0.02)、高容量の代謝拮抗薬 (ミコフェノール酸モフェチル) の使用 (1,077±76.9 mg vs. 765.6±119.6 mg; p=0.04)であった。

【考察】

これまでの報告と同様、①腎移植患者のCOVID-19ワクチン接種後の抗体価の上昇が低い可能性と、②non-responderのリスク因子として、高年齢、短い移植後の期間、代謝拮抗薬の使用が示唆された。一方、最近の研究ではCOVID-19ワクチンの3回目追加接種により2回の接種では反応しなかった腎移植患者の49%で抗体反応が検出されたことが示されている。non-responderに対する3回目のワクチン追加接種は十分検討に値すると考えられる。

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