移植
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SARS-CoV2感染後の腎移植患者の抗体価の推移検討
海上 耕平大木 里花子古澤 美由紀石井 晃太八木澤 隆史神澤 太一平井 敏仁尾本 和也田邉 一成高木 敏男石田 英樹
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s269_2

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抄録

[背景]SARS-CoV2による新型コロナウイルス感染症は全国的に流行しており重篤な転帰をたどる。特に移植患者は免疫抑制下のため感染の重症化が懸念されており、感染制御のためワクチン接種が行われているが、抗体獲得性の低下が判明してきている。一方で、移植患者が感染した場合抗体獲得性は不明な点が多く、特に抗体価の推移は今後の加療の面で非常に重要であると考えられる。今回、東京女子医科大学病院に通院する腎移植後のSARS-CoV2感染者について、抗体価を測定を経時的に測定したので報告する。

[対象]腎移植後のSARS-CoV2感染患者18名。SARS-CoV2感染後、経時的にSARS-CoV-2抗体価の測定(LABScreenTM COVID Plus, One Lambda Inc)を行った。また、4名の腎移植患者および10名の一般成人に対しても、ワクチン接種前後における抗体価測定を行った。[結果]感染者に関して、SARS-CoV-2 ECDおよびSpike S2抗体はいずれも陽性化し、6カ月から1年持続していた。ワクチン接種後の抗体価に関しては、腎移植患者において低下していた。[考察]感染罹患後は、高い確率で抗体の獲得が行われており、その持続性も永い可能性が示唆された。この特性は今後のワクチン接種戦略と併せて検討していく必要があると考えられる。

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