移植
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当院における献腎移植患者に対する外来診療の現状
上村 恵子長坂 隆治
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s278_3

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抄録

2017年に献腎移植登録への年1回の通院が義務付けされた以前より、当院では献腎移植登録患者は年1回の受診時に心臓超音波検査、頸動脈超音波検査、胸腹部CT検査、骨塩定量測定を実施している。血液検査も一般検査のみならず、内分泌・腫瘍マーカーも測定している。現在、当院の献腎移植フォローアップ外来には93名(現在年齢55.5±10.1歳・透析歴136ヶ月±75.6ヶ月・登録年齢45.5±9.4歳)が通院しているが、その検査結果はすべての各透析施設へフィードアップし、献腎移植候補にリストアップされた際に躊躇なく移植手術が行えるように備えている。特に続発性副甲状腺機能亢進症についてはCa値やインタクトPTHを測定し内科的治療が困難となった際には手術を患者に勧めている。これまでに19名の献腎移植登録患者に副甲状腺全摘術を行っており、これを契機に近隣の施設から献腎移植登録患者以外の症例に対する手術依頼も増加している。また献腎移植登録外来フォロー中に腎臓癌7名、肝臓癌1名を早期に診断し外科的治療を施行している。

 以上のことから当院の献腎移植登録外来では、登録患者が登録を継続するためだけに受診するのではなく、異常を早期に発見できる機会となり生命予後に貢献しているものと考える。

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