2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s278_2
はじめに
COVID-19感染蔓延に伴い、日本移植学会よりCOVID-19の移植治療における基本指針が決定された。当院では対策開始の2020年3月6日から2022年3月31日までに112例の肝移植が実施された。日々更新される対策下の中で患者・家族への負担は大きく通常とは異なる状況で移植医療を遂行せざるをえない状況だった。
目的
本研究は、COVID-19対策開始前後を比較した上で、 RTCが対策下で行った支援を考察し、患者・家族が安心して移植医療を受けるための具体的施策を考え、より良い支援に繋ぐことを目的とする。
方法
対象はCOVID-19対策中の2020年3月6日から2022年3月31日までに、当院で移植手術をされた症例と対策前を比較、COVID-19対策によりいかなる制限があったか、その制限に対してどのような支援の工夫を行ったか後方的研究により明らかにする。
結果
日々更新されるCOVID-19対策の中で、ドナー、非ドナー、兄弟支援等を対面の面談ができない状況下でのサポート調整として事前の資料郵送、オンライン電話面談を行った。特に同居家族体調不良時の相談対応を複数回行ったことが明らかになった。
考察
面会制限下での移植手術調整は患者・家族への心理社会的負担は大きく、体調不良時の相談対応は緊急の調整を要する。COVID-19対策下において、限られた時間の中で患者・家族が移植医療を納得して行うために事前の情報提供、体調不良時の調整を早期対応することは、より良い支援に繋がると示唆された。
おわりに
COVID-19対策下のRTCの支援を明らかにしたが、今後その他の原因で移植医療の遂行が困難になった際にも支援を参考にできると考える。