移植
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リツキシマブ時代における生体腎移植レシピエント周術期細菌感染症の検討
西村 慎吾荒木 元朗奥村 美沙関戸 崇了徳永 素坪井 一朗和田里 章悟吉永 香澄丸山 雄樹山野井 友昭窪田 理沙小林 泰之和田 耕一郎渡邉 豊彦
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s284_1

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抄録

【緒言】増加傾向にあるABO血液型不適合や抗ドナー抗体陽性の生体腎移植において、リツキシマブとアフェレーシス併用を中心とした術前脱感作療法が主流となっている。リツキシマブの抗体産生抑制による周術期感染症の増加が懸念され、今回、後方視的検討を行った。

【対象と方法】当科で2009年5月から2022年3月までに行った生体腎移植139例中、「泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン」で推奨された、単回もしくは72時間以内の予防抗菌薬投与の111例を対象とし、術後1か月以内に抗菌薬投与を必要とした細菌感染症のリスク因子を単変量および多変量解析を用いて検討した。

【結果】全ての細菌感染症が尿路感染症(Urinary tract infection;UTI)、21例であった。UTIのリスク因子についての単変量・多変量解析では、糖尿病やASA、維持透析、予防抗菌薬投与期間等は有意差なく、リツキシマブとアフェレーシス併用の脱感作療法は単変量で有意差を認め(p=0.048)、多変量では強い関係を示した(p=0.054)。サブ解析では、リツキシマブとアフェレーシス併用例においても予防抗菌薬投与期間はリスク因子ではなかった。

【結語】リツキシマブとアフェレーシス併用の脱感作療法を施行する免疫学的ハイリスク腎移植ではUTIが増加する可能性がある。

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