2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s292_3
【背景】カルシニューリン阻害薬(CNI)腎毒性に対する治療はCNIの中止(または減量)であるが、抗ドナー特異的抗体(DSA)産生や拒絶反応の危険性がある。
【目的】CNI腎毒性に対し、エベロリムス(EVR)を導入し、CNIを安全に中止できたかを評価する。
【対象・方法】CNI腎毒性と診断され、DSA陰性で拒絶所見がなく、EVRを導入しCNIを中止した9例を対象とした。移植腎機能・DSAの有無・移植腎生検拒絶所見の有無、最終転帰を評価した。
【結果】
移植からCNI中止までの中央値は10.1(5.8-17.3)年。CNI中止後のフォローアップ期間は中央値5.1(1.4-9)年。CNI中止前後で移植腎機能に違いは認めなかった。9例中8例はDSA陰性で拒絶所見はなく、6例は現在まで移植腎生着中、1例が移植腎機能廃絶、1例が病死した。1例はDSA陰性も急性T細胞関連型拒絶所見を認め、EVRを中止しCNI再開となった。
【結語】EVR導入により9例中8例でCNIを安全に中止でき、6例が移植腎生着中である。