移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
エベロリムスを導入しカルシニューリン阻害薬を中止した腎移植患者の検討
岩原 直也堀田 記世彦広瀬 貴行篠原 信雄
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s292_3

詳細
抄録

【背景】カルシニューリン阻害薬(CNI)腎毒性に対する治療はCNIの中止(または減量)であるが、抗ドナー特異的抗体(DSA)産生や拒絶反応の危険性がある。

【目的】CNI腎毒性に対し、エベロリムス(EVR)を導入し、CNIを安全に中止できたかを評価する。

【対象・方法】CNI腎毒性と診断され、DSA陰性で拒絶所見がなく、EVRを導入しCNIを中止した9例を対象とした。移植腎機能・DSAの有無・移植腎生検拒絶所見の有無、最終転帰を評価した。

【結果】

移植からCNI中止までの中央値は10.1(5.8-17.3)年。CNI中止後のフォローアップ期間は中央値5.1(1.4-9)年。CNI中止前後で移植腎機能に違いは認めなかった。9例中8例はDSA陰性で拒絶所見はなく、6例は現在まで移植腎生着中、1例が移植腎機能廃絶、1例が病死した。1例はDSA陰性も急性T細胞関連型拒絶所見を認め、EVRを中止しCNI再開となった。

【結語】EVR導入により9例中8例でCNIを安全に中止でき、6例が移植腎生着中である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top