移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
虎の門病院での腎移植成績の検討―mTOR阻害薬使用についてー
中村 有紀三木 克幸横山 卓剛石井 保夫
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s293_1

詳細
抄録

エベロリムス(EVR)はカルシニューリン阻害薬(CNI)との併用により、CNIの減量、CMVの発症抑制、抗悪性腫瘍効果などが期待された。今回われわれは当施設での腎移植患者におけるEVR追加プロトコールを2020年4月より開始したので報告する。対象は2020年1月から2021年5月までの腎移植術41例。平均年齢51.3±10.7歳、男女比は25:16。生体腎移植35例(うち1例は2次移植)脳死移植5例心停止移植は1例であった。血型不適合4例、PEKTは14例であった。本院はEVR投与なし。分院はEVR投与するプロトコールとしている。移植直後よりEVR投与の20例と非投与21例を比較した。観察期間は619日。拒絶反応を認めた症例はなかった。EVR投与群とEVR非投与群の腎機能は3ヶ月血清Cr1.26±0.33/1.42±0.6 mg/dl,12ヶ月血清Cr1.32±0.41/1.33±0.54であり統計学有意差を認めなかった。EVR投与群で術後肝細胞癌1例、腎細胞癌1例を認めた。6例のCMVハイリスクのうち3例はEVRを投与されていたが発症はなかった。BKウイルス感染症を1例に認めた。当施設で初期EVR導入について腎機能推移は良好であった。CMV感染については非投与群と差がなかった。今後も症例を重ねEVRの効果を検討する。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top