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臓器提供施設連携体制構築事業における事例発生時の現場支援
吉川 充史纐纈 一枝加藤 櫻子宮島 由佳剣持 敬
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s302_1

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抄録

(はじめに)当院では臓器提供連携体制構築事業に参画、経験の少ない連携施設に、臓器提供時の情報提供や脳死判定等の実際、また人員配置やマニュアル作成のノウハウを助言、臓器提供事例発生時に医師や臨床検査技師が応援に駆けつける等の支援を行なっている。

(目的・方法)臓器提供連携体制構築事業では、月1回定例会を開催し、互いに顔の見える関係を構築し、臓器提供体制構築を支援している。脳死下臓器提供事例発生時の現場支援の取り組みについて紹介する。

(結果・考察)2施設の連携施設に院内コーディネーター(以下院内CO)と臨床検査技師の現場派遣を行った。初めての脳死下臓器提供は、知識はあるが経験値が低いため現場が混乱する。事例発生早期から経験のある拠点施設の院内COを現地に派遣し、ノウハウや助言をすることで連携施設の院内COの不安が軽減され、円滑な院内調整に繋がった。また法的脳死判定では、一番重要な脳波測定に、拠点施設から経験値の高い臨床検査技師が現地で支援する事で、経験値の低い臨床検査技師の精神的負担を軽減し、技術的サポートが可能となった。

(まとめ)経験のない連携施設において、初回の提供事例では患者家族との対応、院内調整など限られた資源と時間の中で行う事は混乱を伴う。経験のある拠点施設職員が現地で協同し助言を行うことで、連携施設職員の精神的な不安軽減につながり成功体験は次回の提供にもつながると考える。

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