2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s301_3
<背景>
臓器提供には手術室看護師が大きく関わるため、A病院では院内ドナーコーディネーター(以下Co)の1名として、2020年に手術室看護師が任命された。今回、他院摘出チームへの器械貸し出しの実践と効果について報告する。
<実践内容>
A病院は、2020年から摘出医の負担軽減を目的に他院の摘出チームへ手術器械、診療材料の貸出しを行っている。手術室担当Coは、摘出術前日に日本臓器移植ネットワーク(以下JOT)と打ち合わせをし、提示している貸出し器械リストに対する医師の要望・質問に回答した。摘出術当日は、各チームの到着前に摘出器械を展開し、到着後に担当医師と器械の最終確認を行った。
<結果・考察>
2施設へのアンケート結果では、当院の摘出器械で問題なく臓器摘出術が実施できたため、今後も使用したいとの回答を得た。また、COVID-19流行時期でもあったため、器械・トランクを持参しての長距離移動の負担が軽減し、JOTや厚生労働省から評価された。手術室看護師が院内ドナーCoとして調整役を担ったため、提供施設での器械貸出しを含め、円滑な臓器提供に貢献できたと考える。
<結論>
臓器摘出術、移植医療は院内だけではなく他施設の摘出チームとの連携が必要である。手術室看護師が院内ドナーCoを担うことにより、臓器提供の最終かつ最もCriticalなプロセスである、臓器摘出術のスムースな実施が可能であった。今後も手術室院内ドナーCoとして尽力していきたい。