移植
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移植医療における働き方改革推進の現状と課題
蔵満 薫小松 昇平木戸 正浩権 英寿福島 健司浦出 剛史宗 慎一津川 大介柳本 泰明浅利 貞毅味木 徹夫外山 博近福本 巧
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s303_3

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抄録

背景;日本臓器移植ネットワークからの報告によると、2010年には32件であった脳死下臓器提供数はコロナ禍の2021年も66件まで増加していた。肝臓では病状が深刻な患者から移植が実施されるため、単一施設で移植が続くことも珍しくない。2024年4月から導入が検討されている医師の働き方改革の中で規定されている時間外労働の上限規制をクリアするためには、移植医療におけるタスクシフティングが必須となる。自施設における移植医療の現状とレシピエント移植コーディネーター(RCT)の育成について報告する。

現状;4日間に2例の移植が週末にある場合、自施設だけの診療体制では8人摘出チームの派遣が必要であったが、互助制度を利用することで4人まで削減することが可能となった。また日々の患者対応をするRTCの育成目的に関連病棟で勉強会を毎年実施し、病棟師長の協力を得た上で2014年より移植外来への病棟看護師の派遣を開始した。関連学会へも複数名で参加し、2016年以降継続的にRCTの認定を得ている。考察;時間外労働の最たる理由となる摘出手術に際した人的資源の投入は、互助制度の利用により大幅な削減が可能となるが、削減された若手医師の摘出医としての育成が今後の課題である。移植患者の予後を担保するためにはRTCの存在が不可欠であるが、自施設では関連病棟でRCTを複数名育成することにより専従看護師の業務を軽減した。いかに継続して若手のRTCを育成するかが今後の課題である。

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