移植
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腎移植における拒絶反応リスクを最小限に抑えるための方策-Kidney Exchange Programという選択-
伊藤 美樹剣持 敬伊藤 泰平栗原 啓曾田 直弘
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s321_1

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抄録

 本邦では,ガイドラインにて3親等以内の姻族と6親等以内の血族しか原則生体腎移植ドナーにはなれないと定められている.免疫学的High riskである組み合わせでも十分な脱感作療法を行い,生体腎移植を実施しているが,それでもAAMRのリスクや感染症リスク増大の可能性がある.

 北米2か国,オーストラリア,欧州10か国では,免疫学的High riskの組み合わせで,ドナー・レシピエントの組み合わせを多数間で調整する,いわゆるKidney Exchange Program(KEP) で生体腎移植が行われている.米国の国営KEPはNational Kidney Registry (NKR)と呼ばれ,NKRの腎移植成績はUNOS全体の成績より良好であることが示されている.

 一方,本邦では過去に1組の交換腎移植が施行されているが,2004年に日本移植学会から,日本移植学会倫理指針に反するものではないが,「社会的なシステム」により交換腎移植を推進すべきではないとの見解が示されている.

 共同演者の伊藤らのアンケート調査によると,国内で過去10年に242名の慢性腎不全患者が免疫学的high riskを理由に生体腎移植を断念していることが判明した.

 拒絶反応リスクを最小限に抑えるための一方策として,米国University of California, San Francisco(UCSF)でのKEPの現状を報告すると共に,国内でのKEPの必要性について論じる.

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