移植
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当院での献腎移植待機患者における抗HLA-ClassⅡ抗体の検討
石山 顕信西川 晃平大植 裕之出口 佳穂宮地 志穂里渡邊 麻里梶原 達也東 真一郎佐々木 豪加藤 学舛井 覚井上 貴博
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s325_2

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抄録

【緒言】

本邦の献腎移植の斡旋基準ではBリンパ球でのリンパ球交差試験は必須とされていないが、Bリンパ球フローサイトメトリークロスマッチ(B-FCXM)が陽性となる場合にも抗体関連型拒絶反応のリスクが上昇すると報告されている。そこで、B-FCXM陽性化を起こしうる様な抗HLA-ClassⅡ抗体の保有状況を献腎移植待機患者において評価し今後の対策について検討した。

【方法】

2016年6月から2021年1月までの間に当院にて献腎移植待機登録をした139例中、抗HLA抗体スクリーニング検査が陽性であり、抗体同定検査としてLABScreen® Single Antigenをした21例を評価対象とし、抗HLA-ClassⅡ抗体の頻度、normalized mean fluorescence intensity(nMFI)を評価した。尚、当科では各抗原の陽性cutoffはnMFI 1000としているが、B-FCXMが陽性化しうるとされるnMFI 2000以上となる割合も算出した。

【結果】

ClassⅡ抗体陽性は14例(67%)、そのうちClassⅡ抗体のみ陽性であった症例は3例(14%)、ClassⅠ・Ⅱ抗体ともに陽性であったものは11例(52%)であった。Locus別では、DR、DQ、DPに対する抗体はそれぞれ33%、33%、29%であった。また、パネルの中での最大のClassⅡのnMFIが2000を超える症例は8例(38%)であった。

【考察】

B-FCXMを陽性化しうるClassⅡ抗体を有する症例が散見されたことから、献腎移植待機患者に対してもClassⅡ抗体の有無の評価もしくはB-FCXMを検討すべきであると考えられた。

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