移植
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低抗体価ABO不適合腎移植における脱感作療法:リツキシマブなしと低用量リツキシマブありとの比較
岡田 学鳴海 俊治二村 健太長谷川 雄基平光 高久後藤 憲彦一森 敏弘田中 慧西沢 慶太朗余西 洋明渡井 至彦
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s364_2

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抄録

はじめに

ABO不適合腎移植(ABOi)の成績はリツキシマブによる脱感作療法が導入され飛躍的に向上した。一般的に脱感作の強化は、抗体関連型拒絶の予防に寄与するが、副作用や合併症を増加させる。当科では低抗体価ABOi症例に対して抗体除去のみで脱感作を行ってきた。2016年までに幾度かの急性抗体関連型拒絶を経験したため、2017年以降は脱感作療法に低用量のリツキシマブ(100㎎1回)を加えた。今回、低抗体価ABOiでのリツキシマブ導入前後の成績を比較検討した。

方法

2007年から2021年の低抗体価ABOi症例をリツキシマブ導入前後の2群にわけて、患者背景、拒絶反応、感染症、悪性疾患、de novo DSA、移植腎生着、患者生存を調査した。主要評価項目は急性抗体関連型拒絶とし、その他のアウトカムを副次評価項目とした。

結果

低抗体価ABOi 142症例のうちリツキシマブ導入前の症例が66例(NoRit)、リツキシマブ導入後の症例が76例(Rit)であった。急性抗体関連型拒絶はNoRitにおいてのみ認められた(7.6%[5/66] vs 0.0% [0/76], P = 0.047)。また、術後の抗体価はRitにおいて優位に低かった。副次評価項目は両群で差を認めなかった。

結論

低抗体価ABOiにおいて、低用量リツキシマブを用いた脱感作療法は合併症の頻度を上昇させることなく抗体関連型拒絶を予防しうる有効な治療法である。

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