移植
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悪性腫瘍治療歴のある生体肝移植ドナー3例の経験
平田 雄大眞田 幸弘大西 康晴岡田 憲樹堀内 俊男大豆生田 尚彦佐久間 康成佐田 尚宏
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s380_1

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抄録

背景:悪性腫瘍治療歴のある生体ドナーやグラフトの報告は少なく、安全性は確立されていない。今回、悪性腫瘍治療歴のあるドナーによる生体肝移植の3例を経験したので報告する。

症例1: 42歳、女性(レシピエント:娘、9か月、BA、PELD score 30)。術前精査で早期胃癌を指摘され(胃体中部小彎、0-Ⅱc, sm1, sig, 32mm)、胃癌根治術を先行し生体肝移植ドナー手術を同日に施行した。病理所見はpT1(M)N0M0、pStageⅠA。術後20年、ドナー、レシピエントの経過は良好。

症例2:54歳、男性(レシピエント:孫娘、8歳、BA、PELD score 0)。術前精査で早期食道癌(胸部中部食道、1/3周性、m)を指摘され、先行して食道亜全摘術+胆嚢摘出術を施行した。病理所見はsm2、pT1bN0M0、pStageⅠ。食道癌根治術後1年4か月時、生体肝移植ドナー手術施行。術後19年、ドナー、レシピエントの経過は良好。

症例3:61歳、男性(レシピエント:妻、57歳、PBC、C-P-B(9)、MELD score 6)。45歳時に血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の診断でCHOP 1コース、PSL治療を行い、57歳時に寛解状態となった。血液内科にてAITLの寛解状態を確認し、肝生検にて異常所見なくドナー適応と判断した。術後3か月、ドナー、レシピエントの経過は良好。

結語:悪性腫瘍治療歴のあるドナーによる生体肝移植は安全に施行できる可能性がある。

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