2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s111_2
COVID-19蔓延下で臓器提供・移植数の著明な減少がみられたが、令和4年度において脳死下臓器提供数は過去最高数となった。しかし、我が国初の脳死下臓器提供が行われた平成10年以降、脳死下・心停止後臓器提供数はおよそ計100件前後にとどまり、眼球を含む国内の臓器移植希望登録者数は17,835名にのぼる。このような状況を鑑み、国内の医療提供体制をより一層推進するための取組として、臓器提供施設連携体制構築時業等の拡充と、当該事業における脳死患者の情報を早期に拠点病院等と共有する仕組みを検討している。この取組により、救急・集中治療の終末期医療の一環として家族に臓器提供の情報を確実に提供する体制の構築が期待される。また、施設内、地域内で、脳死患者の把握、終末期医療から、臓器摘出・搬送までを円滑に行う取組が望まれており、この体制の構築には移植施設の協力が重要である。これら行政の取組を概説し、今後の移植医療の展望について言及する。