2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s119_1
"臓器移植におけるドナー特異的抗体(DSA)による抗体関連性拒絶反応(AMR)は予後に影響を与えるが、確立された治療法は無いためAMRの制御は喫緊の課題である。
血液型不適合移植の減感作療法は、リツキサン投与によるB細胞除去でその成績は格段に向上した。しかし、DSAによるクロスマッチ陽性症例は成績が悪く、術前の減感作療法が模索されている。我々の検討では、DSA陽性症例に対してリツキサンを投与するとアロ反応性CD4 T細胞が活性化して、移植後に細胞性拒絶反応が増加した。マウス皮膚移植モデル解析より、そのメカニズムは制御性B細胞の減少であり、DSA陽性症例に対するリツキサン投与は慎重であるべきと考える。
一方、移植後にDSAが出現するde novo DSAの危険因子や予防法は明らかでない。HLAのMolecular mismatchレベルが肝移植後のde novo DSA発現に関連していた。また、抗体産生を司る免疫機能の一塩基多型がDSA産生に関連することも明らかにした。CTLA-4, CXCR5の一塩基多型は腎移植後のde novo DSA発生率を予測し得た。治療に関しては、CLTA-4Igによるde novo DSA産生抑制に向けた研究を行っている。