移植
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免疫グロブリンを用いた脱感作療法の成績
角田 洋一松村 聡一深江 彰太田中 亮中澤 成晃山中 和明筒井 健司比嘉 洋子川村 正隆蔦原 宏一高尾 徹也野々村 祝夫
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s122_2

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抄録

【目的】2019年に免疫グロブリン静注療法(以下IVIG)の適応疾患・病態に、「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作」が新たに加えられた。IVIGは単独または血漿交換やリツキシマブとの併用で、ドナー特異的抗体(以下DSA)に対する有用性が示されている。IVIGを用いた脱感作療法の成績について報告する。【方法】大阪大学および大阪急性期・総合医療センター泌尿器科において、腎移植前の脱感作療法にIVIGが使用された症例22例を対象として成績を検討した。【成績】術前のフローサイトメトリークロスマッチ(FCXM)はT陽性が2例、B陽性が7例、T・Bともに陽性が10例、陰性が3例であった。FCXM-Tのratioは平均2.41、FCXM-Bは平均9.78であった。DSAはclassIのみが10例、classIIのみが8例、classI+classIIが2例、non-HLA抗体が2例であった。DSAのMFIは平均6132であった。IVIGの投与量は1~4 g/kgであり、二重濾過血漿交換または全血漿交換と併用し、一部の症例ではリツキシマブも併用した。9例(40.9%)において移植腎生検で抗体関連型拒絶反応(以下AMR)と診断されたが、それらの症例における移植腎機能は良好であった。Death with functioning graftを1例のみ認めたが、その他の症例は全例生存・生着している。【結論】移植腎機能は安定しているものの、AMRの発生率は比較的高い結果となった。IVIGの最適な投与量やスケジュールを含めた脱感作療法の改善が必要と考えられた。

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