移植
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脳死下臓器提供における都道府県コーディネーターの役割~京都府における状況~
振原 玲子
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s134_1

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抄録

都道府県コーディネーター(以下都道府県Co)は臓器提供の早期より医療機関と協働する。速やかに医療機関に赴き、主治医・院内Coと共に必要な医学的状況、並びに社会的背景として家族の状況、司法解剖の有無、虐待に関する確認等につき検討する。併行して、日本臓器移植ネットワーク(以下JOT)に報告相談しながら、臓器提供の適応と脳死とされうる状態の診断を確認し、臓器提供の選択肢に関する様々な相談に対応する。家族の希望に応じてJOTと共に臓器提供に関する説明を行い、法的脳死判定や摘出手術、臓器搬送等の一連を院内関係者と実施する。特に検視調整や臓器搬送時におけるパトカー先導、消防防災ヘリ、タクシー手配など、地域の関係機関との連絡調整は都道府県Coに求められる業務である。更に、地域のCoとして初動より提供家族に関わることの多い都道府県Coは、移植後経過報告やサンクスレター等を通じて提供後も継続的に患者家族に寄り添う役割も担う。臓器提供は1例として同じ症例はなく、各種調整や必要な配慮は毎回異なり、症例に合わせた対応が必要である。日頃より地域に密着し各関係者同士が顔の見える信頼関係を構築し、提供時に円滑に対応できる連携体制を整えることは、患者や家族、医療従事者をはじめ多くの関係者の思いを繋ぐために最も重要な都道府県Coの役割である。

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