移植
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60歳以上のドナーからの心臓移植の急性期成績~二施設共同研究~
吉岡 大輔福嶌 五月塚本 泰正田口 卓良柳野 祐輔渡邊 琢也坂田 泰史宮川 繁
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s150_2

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抄録

<背景>心臓移植待機患者は現在700名近くに達し、待機患者総数は昨年やや減少傾向にあるものの、待期期間はさらに延長している。待機患者の中には、長期待機が困難で高齢ドナーによる心臓移植を必要とする場合もある。今回、60歳以上のドナーからの心臓移植の急性期成績を検討した。<対象>1999年2月-2021年12月に大阪大学医学部附属病院と国立循環器病研究センターで心臓移植を施行した302例中、18歳以上の計260例を対象とした。ドナー年齢60歳以上による心臓移植29例(O群)と、60歳未満の231例(Y群)を比較し、60歳以上ドナーの安全性を検討した。<結果> レシピエント年齢中央値はO群55歳、Y群41歳であった。原疾患、腎機能、移植待機期間(1085 vs 1032日)、ドナー心機能に有意差は認めなかった。術後、心筋虚血時間に有意差は認めなかったが、O群で強心剤使用量が有意に多く、ECMO(17% v s3%)、IABP(12% vs 24%)を有意に多く必要とした。術後1か月の時点でEFに差は認めなかったものの、E/e’は有意にO群で高く(12.5 vs 8.5, p <0.01)、右心カテーテルにおいてO群で有意にCI低値(2.7 vs 3.1 L/min/m2, p<0.01)であった。ICU滞在日数に有意差は認めなかった。<まとめ>高齢ドナーによる心臓移植は急性期において拡張障害が出現しやすく、低心拍出量に留意する必要があると考えられた。

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