移植
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脳死ドナーからの膵臓・膵島移植あっせんシステムの現状と課題
清水 聡子大宮 かおり芦刈 淳太郎蔵満 薫北村 聖門田 守人
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s155_2

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抄録

臓器移植と組織移植では、あっせん機関・対象・法的根拠・運用規則のすべてが異なるが、患者・家族の「提供するという権利」は同一である。ドナー家族にとって、臓器と組織提供で別々に説明を聞くことや、承諾手続きを別々に行うことは、時間的拘束の長期化や手続きの煩雑さによる負担の増加を招くことから、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターは可能な限り組織コーディネーターとの連携を行っている。実際には、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターは患者家族に面談を行う前に患者が5類型該当施設に入院していることを確認した上で、組織提供の対応エリアや施設における組織提供体制の有無、摘出可能な組織の医学的適応について事前確認を行い、家族に対し組織提供に関する情報提供を行うことの検討を行っている。さらに脳死下臓器提供事例において膵臓が移植できない可能性がある場合には、膵島移植班事務局にコンサルトを行い、膵島ドナーとして医学的適応があると判断された場合には、家族に対する膵島提供についての意向確認や組織コーディネーターとの面談調整等一連の対応を行っている。臓器・組織の背景は異なるが、家族への負担軽減を第一に考えた説明や手続きいかに継続していくか、課題解決を踏まえて日本臓器移植ネットワークの体制について報告する。

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