移植
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膵島移植予後予測指標による成績評価と発展に向けた課題
山根 佳穴澤 貴行藤倉 純二江本 憲央出羽 彩蘇 航長井 和之内田 洋一朗伊藤 孝司石井 隆道波多野 悦朗
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s157_1

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抄録

【緒言】膵島移植が保険収載されて以降当院では定期的に膵島移植を実施し、データも蓄積しつつある。欧米で報告された長期予後予測スコアリングモデルを参考に当院の膵島移植成績を評価し、将来展望につき考察する。【方法】2013年以降当院で実施した膵島移植レシピエント6例の移植後成績を欧米のスコアリングシステムを用い検討した。【結果】1症例あたりの移植実施回数は3回4例、2回2例で、累計移植膵島数は2.01×104IEQ/kg (1.35-3.20×104)であった。短期合併症は生じず移植後全例で重症低血糖発作が消失したが、2例で拒絶によるグラフトロスが確認された(それぞれ生着期間32ヶ月、62ヶ月)。膵島移植後長期予後の指標となるPGF(primary graft function、最終移植後28日目のBETA-2スコア)は~5:1例、10~15:2例、15~20:2例、20~:1例であり、グラフトロスに至った2例ではそれぞれ2.2、10.6と低値であった。累積膵島数はPGFと相関する傾向にあり、移植回数2回の症例においてもPGFが高値であればグラフトの長期生着が認められた。一方膵島移植の保険適応以降も待機登録患者数の増加は鈍く、実施数の増加につながっていない。【結語】当院の膵島移植成績は安定しており、海外と同様の予後予測が可能であった。今後の発展においては、さらなる治療成績の提示により膵島移植のメリット・デメリットの理解を進め、治療適応患者登録を促進することが望まれる。

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