移植
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膵島移植実施体制の課題
明石 優美加藤 櫻子吉川 充史纐纈 一枝會田 直弘栗原 啓伊藤 泰平剣持 敬
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s156_2

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抄録

【背景】

膵島移植は2020年4月に保険収載され、2022年末までに6例が実施された。しかし、臓器移植と異なり組織移植として行われる膵島移植には、未だ多くの課題がある。

【膵島移植の課題】

膵島移植の課題として、以下が挙げられる。

1)脳死下・心停後対応両方がある 2)組織移植であり臓器移植の対応と異なる 3)臓器移植Coではなく組織移植認定Coが対応する 4)レシピエント登録・ドナー発生時のレシピエント選択は学会主導で行っており、事務局医師負担が大きい 5)症例登録制度が確立していない 6)摘出、搬送やCo費用が定められていない、等である。

【課題への対策】

臓器・組織提供の連携強化には、ドナーCoによる組織移植認定Co資格取得が望ましいと考える。これにより、臓器・組織提供の一括コーディネーションが可能となり、ドナー家族の負担軽減につながる。移植登録業務、レシピエント申請・登録、あっせん業務を専門に行う部門の設立(第三者機関)も必要である。費用については臓器移植に準じ、費用設定(摘出・搬送・移植・コーディネーション業務)の構築が急務である。

【考察・展望】

研究費で実施されてきた本邦の膵島移植が保険収載されたことで、1型糖尿病の治療法として今後の発展が期待される。新しい医療であり、未だシステムが確立されておらず、課題が山積している。日本膵・膵島移植学会では、種々の課題を1つずつ解決しサステナブルな膵島移植医療を確立したい。

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