2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s182_1
わが国の腎移植の成績は良好であり、10年生着率は90%に迫る。コロナ禍では若干の減少をみたものの腎移植件数は近年増加傾向であると言える。その結果腎移植後のフォローアップ(FU)患者は増加している。さらに腎移植施設は減少に転じ、大規模施設では移植数が増加している反面、小規模施設での移植件数は減少している。つまり日本の多くの腎移植は限られた施設で行われており、さらに腎移植後のFUは、そのまま大規模施設で行われる傾向が顕著で、最終的に外来腎移植患者数は激増し続けている。この現状を打破するため、また腎移植後のFUをより充実したものとするために、2019年に大規模腎移植施設である市立札幌病院に隣接した腎移植FUクリニックを開設した。現在400人を超える腎移植患者が通院を行っている。通常の尿、血液検査、薬物血中濃度測定に加え、大規模施設では行えないような腹部、頚部超音波検査、骨密度測定、ABI/PWVなども必要に応じ行っている。開設後4年を経過し、再導入、COVID-19 、その他合併症などで移植施設へ逆紹介する場合も増加し、移植施設との更なる密な連携の必要性が生じている。この4年間に見えてきた課題も含め、今後他地域増加が見込まれる腎移植FUクリニックのシームレスな開設についても言及する。